youtube fund_beginer fund_search fund_look

ファンドニュース

つみたてNISAが4周年、2極化したパフォーマンスは米国株式の積立投資に軍配

2021/12/13 18:42

 つみたてNISAが2018年1月に始まってから丸4年が経過しようとしている。この4年間は、スタート当初が「ゴルディロックス相場(適温相場)」といわれる穏やかで株式投資メリットのある市場だったが、その後、2020年3月の「コロナ・ショック」による激震に見舞われた。しかし、ショックの後は、むしろ、「コロナがDX(デジタル・トランスフォーメーション)の進行を速めた」という評価が出て、ハイテク株式の急速な値上がりがあった。かなり、波乱に満ちた4年間だったと振り返られるが、この間、つみたてNISAの対象商品を使って積立投資を継続した場合、何を選んでいれば、もっとも良い運用成績になったのかを検証した。株式インデックスファンドを選んだ場合は、投資対象地域によって2極化の結果になった。

 つみたてNISAは、主として株式インデックスファンドを積立投資するための制度になっている。必ず、株式を投資対象とした投資信託を選ぶ必要があり、その株式への投資は、運用手数料(信託報酬)が低いインデックスファンドが望ましいと見立てられている。しかも、その株式インデックスは、国内株式、全世界株式、先進国株式、新興国株式で「指定インデックス」が決められている。たとえば、国内株式は「TOPIX(東証株価指数)」、「日経平均株価」、「JPX日経400」、「MSCI JAPAN」のいずれか。全世界株式であれば、「MSCI ACWI」か「FTSE Global All Cap」になる。

 そこで、制度開始以来、どの株式インデックスを選んで積立投資をしていれば、もっとも積立効果が高かったかを調べた。指定インデックスごとに、制度スタートの2018年1月時点で存続し、かつ、最も信託報酬率が低いファンドで、積立投資効果を検証した。たとえば、「TOPIX」連動型のインデックスファンドは、信託報酬率年0.15%が最も低いが、その水準のファンドは5本ある。そこでは、18年1月時点で存在していた「東京海上セレクション・日本株TOPIX」を選んだ。また、「MSCI ACWI」に連動するインデックスファンドで信託報酬が一番低いのは年0.11%の「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」になるが、制度スタート当時は存在しなかったため、「野村つみたて外国株投信(信託報酬=0.21%)」で検証した。

 そのような基準で、指定インデックスごとに国内株式3本、全世界株式2本、先進国株式4本、新興国株式3本で軽12本のファンドを、2018年1月から各月末に1万円ずつ積立投資をした結果を調べた。2021年11月末まで47カ月間の積立投資結果は、トップの運用成績が米国「S&P500」に連動する「iFreeS&P500インデックス」で74万円だった。第2位は「CRSP U.S.Total Market」に連動する「楽天・全米株式インデックス・ファンド」の73.97万円になった。反対に、もっとも積立投資成績が悪かったのは、新興国株式の「FTSE RAFI Emerging」に連動する「iFree新興国株式インデックス」の54.7万円だった。これに次いで悪いのは「TOPIX」に連動する「東京海上セレクション・日本株TOPIX」の55.5万円だった。

 この結果を総括すると、投資対象によって過去4年間の積立投資結果は2極化したということができる。成績が良かったのは、「先進国(中でも米国)株式」と「全世界株式」で積立元本(47万円)に対して、42%〜57%程度のプラスリターンを獲得することができた。悪い結果は、「国内株式」と「新興国株式」を選択した場合だ。この場合は、積立元本に対して23%〜16%程度しかプラスリターンを得られなかったことになった。この結果は、特に、「高い経済成長率」に期待して「新興国株式」を選んで投資した人たちには意外な結果になってしまったことと考えられる。先進国経済がせいぜい年率2%〜3%程度くらいにしか経済成長が期待できない中、新興国には依然として年5%を超えるような経済成長が期待できる。株価が経済を映す鏡であれば、より高い経済成長が期待される新興国の方が、株価は大きく上がるはずだと考えられる。

 しかし、2020年3月の「コロナ・ショック」は、社会的なインフラが貧弱でワクチンを購入する財力に乏しい新興国に過酷な現実を突きつけた。中国など自国でワクチン開発を行った一部の国を除けば、新興国のワクチン接種は、先進国等からのワクチンの寄贈を待たざるを得なかった。このため、先進国との間にワクチン接種率で格差が生まれ、それが経済回復を遅らせる要因になった。また、DX技術については、先進国の企業が先行し、その恩恵を受けるのは先進国の企業が多かったようだ。また、先進国企業は自らの技術を使って新興国でもビジネスを展開し、先行者利益を全世界で稼ぐような動きも垣間見えた。加えて、新興国株式インデックスで大きな影響力がある中国が、民間ハイテク企業への締め付けや民間不動産会社の経営不振の放置などの政策によって、中国株価が低迷したことも新興国株価の低迷に拍車をかけた。

 日本の株価が優れなかった要因に明確な理由は見当たらないが、一部の外国運用会社は、日本企業のガバナンスの遅れ(社外取締役が過半数を占める割合が欧米企業に比べて低い)や女性の社会進出や女性登用の遅れなど、世界的に台頭した「ESG(環境・社会・ガバナンス)投資」の潮流の中で、日本企業を高く評価することが難しいという意見があった。理由は不明確ながら、パフォーマンスが新興国株式並みに悪かったのは事実だ。

 さて、今後の展望はどうなるだろうか? 過去4年間と違って、足元では世界的なサプライチェーンの断裂によって、たとえば、半導体が調達できずに自動車を製造できないなど、モノ不足からのインフレ懸念が高まっている。米国の11月の消費者物価指数は前年比プラス6.8%で1982年以来、39年ぶりの物価上昇になった。国内でもエネルギー価格や食料価格の上昇などによって物価高の影響が出始めた。この「インフレ」は、過去4年間にはなかった要因になる。インフレによって、「ゼロ金利」「マイナス金利」といわれた超低金利の時代も終わろうとしている。これからの時代は、過去4年間とはかなり異なった経済環境になりそうだ。

米国株式優位の展開が、このまま継続するかどうかは分からない。新興国株式の復調や、国内株式の復活も可能性がゼロではない。国内株式については、国内の運用会社などは、国内企業のガバナンス改革は進展していると前向きに評価する声もあるくらいだ。

 いずれにしても、過去4年間を振り返ると、一番、成果が出なかったのは現預金で保有し続けていた人たちであることは明らかだ。成績の悪かった「新興国株式」や「国内株式」についても元本(現金)よりも16%程度には上回る成果になった。つみたてNISAを使った株式投信の積立投資を行わなかったことが、最も効率の悪い投資だったといえよう。

確かに、株価は下落することもある。実際に「コロナ・ショック」の20年3月には新興国株式ファンドを含めて元本割れになった時がある。しかし、その下落時点でも積立投資でコツコツと買い続けていたら、その後の株価の回復で元本を上回る投資成果を得ることができた。これから、「先進国株式」か「新興国株式」か、あるいは、「国内株式」かという点については判断に迷うところだが、「積立投資をやらない」という判断よりも、「投資を始める」「投資を続ける」という選択の方が良い結果に近いのではないだろうか。是非、過去の経過を振り返りながら、「投資することの価値」を考えてみてはどうだろう。(グラフは、つみたてNISAスタート以来の各種株式インデックスファンドの積立投資効果)