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ファンドニュース

株式の期待リターンは低下するが「リスク資産への投資を継続すべき」=JPモルガン・アセットの22年見通し

2021/12/16 20:39

 JPモルガン・アセット・マネジメントは12月16日、資産運用を取り巻く今後10〜15年先のリスク・リターン予測と、約60資産の期待リターンについてのレポート「LTCMA(Long−term Capital Market Assumptions)」の2022年版を発表した。コロナ禍からの脱出を促した大胆な財政・金融政策が今後の経済政策にどのような影響を及ぼすかを展望する一方、インフレリスクを見据えた投資戦略について論じている。最新のレポートについて、同社グローバル・マルチアセット戦略責任者のジョン・ビルトン氏は、グローバル経済が力強く成長していることを踏まえ、「投資家は、トレンドを上回る現在の成長を捉え、環境の変化に素早く適応できるポートフォリオの構築に集中すべき」として、リスク資産への投資を避けるべきではないと語っている。

 レポートでは、過去2年間にわたり世界的なパンデミックによる混乱に見舞われたものの、各国政府による大規模な財政支援、設備投資の急増、抑圧された消費需要の顕在化により、「世界経済はコロナ禍による低迷を抜け出し、急速に加速しつつあります。今日、世界経済の潜在成長率はコロナ禍という逆境にあっても水準を維持しており、『脱却速度(経済刺激策を打ち切っても経済活動が持続的に拡大できる水準)』に達しているか、あるいは、少なくともそれに近い水準にあります」と現状認識を示している。そして、同社では、長期インフレ率予想を引き上げ、「債券保有者にとっては警告サインですがリスク資産にとっては追い風となります」と、債券よりも株式等を選好した方が良い傾向が続くと見通している。「リスク資産にとって有利な投資環境である今、投資を見送ることは避けるべきです」との見解だ。

 ただし、全体感として株式の期待リターンは低下し、ボラティリティの水準は上がると予想している。たとえば、伝統的なポートフォリオである「世界株式60%、米国債券総合40%」で構成したポートフォリオの場合、世界金融危機(リーマンショック)後に公表したLTCMAでは、米ドルベースでリターン7.5%、ボラティリティ8.3%と想定していたが、現在、同じポートフォリオのリターンは4.3%にとどまる一方、ボラティリティは9.7%になると想定している。このポートフォリオのリターンを7%超に戻すことは可能とし、そのためには、「ハイ・イールド債券や海外株式、オルタナティブ資産を大幅に増やし、国債を大幅に減らすのです」と提案。「積極的な資産配分、マネージャー選定、銘柄選択が全ての投資家にとって必須手段となる」と結論している。

 そして、個別の資産の予想される2022年のリターンの水準は、「米国大型株式」の年間リターンは4.10%で据え置き、「ユーロ圏の株式」リターンはプラス0.60%の5.80%としている。「日本株式」はマイナス0.10%下方修正して5.00%、「英国株式」はマイナス2.60%の大幅下方修正で4.10%になるとみている。また、新興国市場はマイナス0.20%の6.60%、「世界株式」のリターンをマイナス0.10%の5.00%と予想している。また、「中国株式」は世界のGDPの17.5%を占める経済規模でありながら、世界株式に占める中国の比率は13.3%と相対的に低く、しかも、中国株式の保有者は中国国内投資家が90.2%を占めているため海外投資家が中国株式への投資を引き上げる必要があると言及している。

 一方、積極的に投資を検討すべきと位置付けているオルタナティブ資産については、「プライベートエクイティ」が米ドルベースで8.10%と21年比でプラス0.30%、「プライベートデット」はプラス0.10%の6.90%と魅力的な水準になると予想。実物資産では、それぞれ21年比で期待リターンの水準は低下するものの、「米国バリューアデッド(賃貸収入に加え、割安に取得した不動産を付加価値を付けて高く転売する戦略)」が7.70%、「アジア太平洋コア」が6.50%と魅力的な水準を維持。「世界インフラ(コア)」は6.10%、「世界輸送(コア)」は7.40%などと予想している。「実物資産は魅力的なインカムをもたらすだけでなく、インフレへの耐性があり、経済成長と価格が連動しています」と前向きな評価をしている。

 最後に、円ベースでのリターンの見通しをみると、「国内大型株式」は5.00%、「国内小型株式」が5.40%であり、「米国大型株式(為替ヘッジなし)」の2.40%や「先進国株式 除く日本(為替ヘッジなし)」の3.00%などと比較すると高いリターンが予想されている。また、「ユーロ圏大型株式(為替ヘッジなし)」が5.40%、「中国株式(為替ヘッジなし)」は6.50%と比較的高い水準でのリターンを予想していることが注目される。(グラフは、LTCMA期待リターン・円ベースの抜粋)