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ファンドニュース

年間で40%上昇した米国株に警戒感、「メガトレンド」には「計り知れない可能性」=シュローダーの見方

2021/12/28 17:42

 2021年の市場を振り返ると、結局は米国株式が市場のリーダーとして君臨し続けた1年だったといえよう。前年末を100としてMSCIの地域別インデックスの推移をみると、「北米」が140近辺で着地しそうだ。その影響を強く受けて先進国株式である「MSCIワールド」が12月27日現在で135になった。また、「欧州」が127と健闘し、「日本」の113を引き離した。半面、「中国」が89とマイナス成長となり、この影響を受けて新興国株式の「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」は109で、先進国株式とのパフォーマンス格差が目立った1年になった。投資対象の選択によって、マイナス10%からプラス40%まで、パフォーマンス格差が目立った1年だった。さて、2022年は、どのような展開が予想されるのだろうか?

 市場環境として注目されるのは、米国の金融政策が「コロナ対策」を目的とした大幅な金融緩和から、量的緩和の縮小(テーパリング)、そして、金融の正常化(利上げ)へと段階を踏んで動くことだ。すでに、米国の中央銀行であるFRBは、22年3月までにテーパリングを終了することを表明している。その後、年央、もしくは、年後半に利上げが始まる見通しだ。現在のところ、利上げは2回(0.5%)、または、3回(0.75%)という見方が強い。米国株価が今年のクリスマス明けに、「S&P500」が史上最高値を更新するほど値上がりした背景の1つには、量的金融緩和によって資金が市場に潤沢に供給されていることもある。企業業績も好調に推移していることから、下押しへの抵抗力はあろうが、市場への資金供給が細って止まってしまうことは、少なからず、市場の上昇力を削ぐことにつながると警戒されている。

 シュローダー・インベストメント・マネジメントのグローバル株式・米国株式ヘッド兼CIOのアレックス・テダー氏は、「S&P500指数の構成企業の2021年の1株あたり利益は225ドル、対前年比で65%の増加が見込まれています。2021年の企業利益が非常に好調であったことから、2022年には大きな困難が待ち受けている可能性が高いといえます。米国企業の利益率はすでに過去最高水準に戻っていますが、投入コスト上昇の影響はまだ十分に反映されていません。労働市場のひっ迫により、さまざまな業種で能力の高い労働者の獲得競争が激化する中、特にサービス部門では、利益率に下押し圧力がかかると予想されます。これらのことから、収益性を確保するための環境はより厳しいものになると考えられます」と現実を直視した対応を呼びかけている。「株式市場はバリュエーションが拡大しているため(特に米国株式市場)、来年はリスクへの警戒が必要です」と気を引き締めている。

 その中にあって、注目できるのは、「価格決定力」としている。「企業がコスト上昇分を消費者に対する製品・サービス価格に転嫁することで、今後1年間を乗り切ることも考えられます。家計はおおむね健全であり、賃金が上昇していることから、5%程度の消費財の価格上昇は許容できる可能性があります」という見方で、高い市場シェアやブランド力を有する企業以外は、原材料やエネルギー価格の高騰を価格転嫁によって緩和することが難しく、収益的に厳しい局面を迎えるかもしれないとしている。

 たとえば、ネスレはコーヒー価格を4%程度引き上げることができた。あるいは、マイクロソフトやアドビなどはソフトの利用料を引き上げることが可能だ。また、グーグルの親会社であるアルファベットなどインターネット・プラットフォームはデジタル広告で強気の値付けをして大幅な増収を実現している。このように「コスト増を抑えつつ、定期的に製品・サービス価格の引き上げを行うことができる分野は、2022年も引き続き成長分野となると予想しています」と、選別的な投資機会はあるとの見通しだ。

 一方で、「メガトレンド」といわれる今後10年以上にわたり株式市場に重大な影響を与える可能性のある多くの構造的な変革は続いていて、「(差し迫った課題から離れてみると)投資の観点では、計り知れない投資機会が見込まれます」と強調している。気候変動、エネルギー転換、人口動態の変化、ヘルスケア分野のイノベーション、デジタル化、自動化および都市化などに多くの投資機会があり、「私たちはイノベーションの黄金時代に生きています」と成長機会の大きな投資機会を見逃すべきではないとしている。

 「処理能力、接続性、帯域幅、メモリから電力供給、ソフトウェアに至るまで、多くのテクノロジーの融合の結果、さまざまな産業にイノベーションの波が押し寄せています」とし、「DNA配列の技術がなければ、新型コロナウイルスのワクチンは開発されませんでした。同様に、エネルギー転換についても、バッテリー容量、再生可能エネルギーの発電能力、グリッド技術などが驚異的に進歩したからこそ、可能になりました。 世界的な変革のプロセスが進行中であり、長期にわたり広く普及しています」とテクノロジーの進歩が社会の課題を解決するきっかけとなり、そこに企業の成長機会があるとしている。長期投資の目線では、市場の短期的な低調を受け入れたとしても、大きなリターンが得られるチャンスがあるとの見方だ。(グラフは、2021年の地域別株価指数の推移。12月27日まで)