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ファンドニュース

投資は「継続こそ力」、短期間の値上がりで「利益確定」は大きな利益を失う行為

2021/12/30 18:24

 12月29日の米国株式市場は続伸し、S&P500が史上最高値を更新した。2021年になってS&P500が史上最高値を更新したのは70回目になった。一方、大納会となった30日の東京株式市場は、日経平均株価が115円安(マイナス0.40%)の2万8791円になった。株価の水準こそ、1989年12月末(3万8915円)以来、32年ぶりの高値にまで進んだとはいえ、史上最高値を駆け上がり続ける米国株式と比較すると、日本の株式市場は高値に怯えてすくんでいるようにも見えてしまう。「米国は右肩上がりの株高が当たり前だが、日本は長らくボックス圏だったため値上がりしたら『利食い売り』で利益を確定しようとしてしまう」と日米の違いが言われるが、足元の動きはともかく、リーマンショック後の2009年からの推移を振り返ると、日本株も緩やかながら右肩上がりを続けている。この日本株の動きは2022年にも継続するのだろうか?

 日本と米国、そして、中国の主要株価の推移を振り返ると、3カ国ともに2019年から3年連続でのプラス成長になった。21年だけの成績を見ると、12月29日までの実績で米国(S&P500配当込み、円ベース)がプラス44.60%でトップ、次いで、日本(TOPIX配当込み)の13.12%、そして、中国(上海総合指数)の5.35%だった。米国株式が快調に高値を更新し続ける中で、中国株は年央から民間ハイテク企業への規制強化や大手不動産会社の中国恒大グループの信用不安などで伸び悩んだ。日本は中国に近い(地理的な近さ、経済的な結び付きなど)関係もあるのか、年央からの動きは中国株の動きに似ている。米国株とのパフォーマンス格差が開く一方になってしまった。

 また、株高が続いた過去3年間をトータルしてみると、2018年12月末を起点として21年12月29日までに、米国株はプラス109.81%の上昇になっている。単純にS&P500のインデックスファンドに投資して保有を続けていたら、資産が2倍以上になったことになる。同じ期間に、日本株はプラス43.49%、中国株はプラス44.23%だ。3年間のトータルでのパフォーマンスは日本株が最も悪くなってしまった。

 この日本株のパフォーマンスの悪さが、日本の投資家の間には海外株にも当てはめて考える傾向があるのではないだろうか? 単純に考えて、過去3年間の投資経験のある人で、米国の株式に投資していた人は、投資資産が2倍以上に増えただろうか? この3年間の株高で、何度か「利食い売り」をした人が多いのではないだろうか。

 米国株の暦年のリターンは、19年がプラス31.11%、20年が10.67%、21年が44.60%だ。この間、日本株は18.12%、7.39%、13.12%という成績なので、たとえば、19年に米国株で30%以上もの値上がりを獲得したら、株価の値上がり率が低い、すなわち、割安感のある日本株に乗り換えるような動きをしていないだろうか? もちろん、そのように、高値で「利食い」を入れて、割安な株式に入れ替えても、投資を継続していれば、その後も運用資産を増やすことはできている。ただ、「利益確定をしたい」という誘惑に勝てなかったために、米国株を保有し続けることによって得られた大きな運用成績を放棄してしまったことになる。

 また、近年は「予想分配金提示型」という毎月分配型投信がブームのように支持されている。かつて毎月分配型投信が、分配金を支払うことを優先するあまり、運用成績が悪くても元本を削ってまで分配金を支払う「タコ足分配」が問題視されたことの反省から生まれた商品だ。「予想分配金提示型」は、基準価額の水準によって払い出す分配金の金額が予め決まっている。基本的には基準価額が1万1000円以上で分配を支払うように決められているなど、運用成績が上がった中から分配金を支払う仕組みになっている。この運用成果をその都度手に入れる方法もまた、「利食い(利益確定)」と同じ行為だ。利益確定を少しずつ行うことによって投資を継続するインセンティブになっていれば、その部分では意味があることだが、実際には、分配金を再投資して「複利で運用する」という効果に比べると、トータルリターンで大きな差が出てしまう。

 投資の成果は、短期間ではさほど大きな成果は得られないものだ。確かに過去3年間の米国株価は2倍になるという大きな成果につながった。しかし、それほど短期で大きな成果が得られるほど成長性の高い資産は、長期に持てばもっと大きな成果になる。米国株に2005年1月に投資して17年間にわたって保有し続けていたら、資産は6.39倍に膨れ上がっていることになる。過去3年間の運用成績が優れない日本株でも投資期間を17年間に引き延ばせば、投資資金は2.44倍になる。この17年間の中には、リーマンショック(2008年)、チャイナショック(2015年)、そして、コロナショック(2020年)と、大きな下落局面が何度もあった。そのようなショックがあってもあわてずに、投資を継続し続けることによって、結果的に大きな収益を獲得することができる。

 2022年は、21年に急速に値上がりした米国株価には高値警戒感があり、それほど大きな値上がりは期待できないのではないかという見方がある。また、エネルギー価格の上昇やコロナ禍によるサプライチェーンの断裂などのために、世界的に物価高(インフレ)が引き起こされ、インフレを抑制するために、ゼロ%近辺に低下した政策金利が引き上げられるのではないかという見方もある。インフレ等がコントロールできないような事態になると、企業業績に響き、株価が下落する要因にもなりかねない。そのような慎重になるべきだという見方はあるが、それは、投資を見合わせたり、投資を止めるようなことを勧めるものではない。投資は継続することにこそ意味がある。特に、つみたてNISAなどを使って、コツコツと毎月積み立てを行っている人は、株価が軟調になれば、安い値段で株式を購入できるチャンスだ。是非、3年より10年、10年より20年といった長期の目線で投資に向き合っていただきたい。(グラフは、日本と米国、中国の主要株価指数の推移)