ファンドニュース

2021/03/10 20:45

金利上昇はテクノロジー株のマイナス材料ではなかった! 日米の長寿テック株ファンドに見る運用実績

 2020年の株式市場をけん引してきたテクノロジー株が動揺している。米国の長期金利が3月になって10年国債利回りで1.5%を超えて上昇してきたことが株価の頭を押さえるようになっている。長期金利の上昇に一服感が出ると、再び株高の息が吹き返したように上昇するため、高値近辺で株価は高止まりしているものの、金利の動きに一喜一憂する動きが続いている。金利上昇は、米国のテクノロジー株にとって大きなマイナスの要因になりうるのか? 日米を代表するテクノロジー株ファンドのトータルリターンの推移と金利の動きを重ねて検証した。

 ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの「netWIN GSテクノロジー株式ファンドA(H有)」は1999年11月29日の設定で、20年以上の運用実績がある。また、野村アセットマネジメントの「情報エレクトロニクスファンド」は1984年2月22日の設定で、35年以上の運用実績がある長寿ファンドだ。両ファンドは一方がアメリカ株式、もう一方は日本株式を投資対象としているが、ともにテクノロジー株に着目して銘柄を選んでいることは同じだ。運用実績を比較するため、「netWIN GSテクノロジー株式ファンドA(H有)」が設定された1999年11月末を起点として、2021年2月末までのトータルリターンの推移をグラフにした。

 両ファンドともに、2000年以降のITバブルの崩壊によって1口当たりの価値は2分の1以下に大幅に落ち込んだ後、リーマンショックによるダメ押しの下落を経て、力強く上昇してきたという経緯は概ね似ている。1999年11月末に対して、2021年2月末には「netWIN GSテクノロジー株式ファンドA(H有)」が2.39倍、「情報エレクトロニクスファンド」は1.86倍と非常に大きなリターンを獲得している。ともに、北米株式や日本株式のカテゴリー内で比較すると、運用成績がトップクラスになる優れた運用実績のあるファンドだ。

 2000年から2020年までは基本的に金利は右肩下がりで長期の金利低下が続いてきたのだが、この間に、金利が一時的に上昇する局面が何度かあった。1年を通じて金利が右肩上がりに上昇した年をピックアップすると、2005年(4.10%→4.43%)、2009年(2.84%→3.85%)、2013年(1.98%→3.02%)、2015年(1.64%→2.26%)の4回があった。この間の両ファンドのパフォーマンスを調べると、いずれも良い結果になっていることがわかる。

 それぞれの当該年における年間騰落率は、「netWIN GSテクノロジー株式ファンドA(H有)」が2005年こそ1.10%のマイナスだったものの、2009年はプラス75.02%、2013年はプラス28.19%、2015年はプラス7.10%だった。「情報エレクトロニクスファンド」は、同様に、プラス27.64%、プラス16.94%、プラス107%、プラス12.94%になっている。この4つの期間だけをみると、国内のテクノロジー株式を対象とした「情報エレクトロニクスファンド」のパフォーマンスの良さが際立つ。

 このように米国の長期金利の上昇とテクノロジー株ファンドのパフォーマンスの間に逆相関を裏付けるような結果にはならなかった。もちろん、この結果は、ともに優れた運用成績を残しているファンドのパフォーマンスを振り返った結果であり、優れたファンドマネージャーの銘柄選定の能力は、金利上昇という環境に左右されない成績を残すことができているということともいえるだろう。

 むしろ、現在の市場の反応だけをみていると、「金利上昇」=「テクノロジー株の悪材料」と感じ取れるが、実際の経済環境で金利が上昇する局面は、景気が上向いている局面と重なるものだ。リーマンショックからの立ち直り局面であった2009年当時が、今の環境に似ているといえる。現在は、リーマンショックよりも大きな短期的な落ち込みであったコロナショックから経済の底割れを防ぐために、各国の中央銀行が大胆な金融緩和策を実施し、景気回復の見通しが見えてきたことによって低下していた金利が上昇に向かっている局面だ。

 もちろん、投資環境に過去と同様な条件が揃っていることはほとんどない。現状も金利の状況こそ、2009年当時に似通っているが、2009年は2008年に株価が大きく下落した後だったことと比べると、現在は、2020年に株価が急速に上昇した後の金利上昇になっている。

 ただ、現在の市場を右往左往している「金利」だけにこだわってしまうと市場の大きな流れを見誤ってしまいかねないということには注意をすべきだろう。金利の上げ下げに一喜一憂するのではなく、むしろ、2020年を起点にはじまったテクノロジー企業の技術革新が、どれほどの企業成長につながり、どれほどの利益を生み出すことになるのかを、冷静に考えることをしたい。この点について、個人の力量で調査してその結果を導き出すことは難しいが、そこは専門の運用会社のアナリストやファンドマネージャーが、その優れた能力を発揮してしっかりと調べている。特に、長期の運用成績が確認できるファンドについては、その調査能力に信頼を置く手掛かりになるといえるだろう。(グラフは、「netWIN GSテクノロジー株式ファンドA(H有)」と「情報エレクトロニクスファンド」の1999年11月末以降のトータルリターン推移)


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