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新興国ニュース



<新興国eye>クレジットカード発行数7億枚超、決済額で日本に並ぶブラジル

2014-04-28 13:38:00.0

 ブラジルに初めて来る人に「両替はあまりしなくていいですよ」と言うと、きょとんとした顔をされるが、ブラジルで1日過ごすと納得してくれる。20年前までは最高で年率3000%のハイパーインフレが起き、とても分割払いなど考えられなかった国が、1995年にピタッとハイパーインフレが止まり、それ以来堅調な経済成長によりクレジットカードによる分割払いができるようになると、カード利用が爆発的に広がった。

 それまで欲しくても手が届かなかったモノが買えるようになり、消費が急激に伸び、直近の10年でGDP(国内総生産)が3倍に成長したわけだが、影の主役はクレジットカードではないかと思う。それは日本と比較してみるとよくわかる。

 まず、13年の日本のGDPは世界第3位で4兆9000億ドル、それに対してブラジルは第7位の2兆2428億ドルで約半分である。日本、ブラジルともに内需はGDPの約6割といわれており、そうすると日本が約3兆ドル(約306兆円)、ブラジルが約1兆3500ドル(約138兆円)となる。

 次に、クレジットカードの決済額を比べると、日銀の発表による日本の12−13年のクレジットカード決済額は49兆円であるのに対して、ブラジルクレジットカード・サービス会社協会(Abecs)の見通しではデビットカードも含めた14年の決済額は前年比17.1%増の約1兆レアル(46兆円)に達する見込みで、数年前の日本の決済額規模に並ぼうとしている。これはブラジルの内需の約半分、GDPの5分の1にも達する。

 そしてこれを可能にするのが、驚くべきカードの発行枚数だ。ブラジルでは高級店から夜店の屋台まで、至る所でカード決済ができるほど普及しており、日本の12年3月末の発行枚数3億2164万枚(日本クレジット協会)に対して、ブラジルのクレジットカード発行枚数は12年第1四半期に7億枚(Abecs)を超え、軽く日本の倍以上となっている。治安上、現金を持ち歩くと危ないことも、カード化に拍車をかけたものと思われるが、本当に驚くほど決済用の携帯端末が街中にあふれている。だから、旅行者もクレジットカードを持っていれば、大金を両替する必要はない。

 あまりに短期間に伸びた歪みもそろそろ出始めている。ブラジルの有力紙「エスタド・デ・サンパウロ」の14年2月4日付のコラムによると、比較的裕福な層の多いブラジル南部において、約70%がクレジットカードローンを含む債務を抱えており、そのうち債務不履行に陥っている家庭が12年に7.5%だったのが13年には8.8%に増えているとのことである。

 いよいよブラジル経済も減速かと思っていたら、同紙3月25日付のブラジル大手金融機関イタウ・ウニバンコ銀行のカード子会社への取材記事で、比較的所得の低いC層、D層、E層といわれる人たちのクレジットカード保有率が10年に50%だったのが、わずか3年で60%にまでアップしたと報じていた。ブラジル経済の底堅さと判断の難しさを思い知らされた。

【筆者:株式会社クォンタム/輿石信男】
株式会社クォンタムは91年より20年以上、日本とブラジルに関するマーケティングおよびビジネスコンサルティングを手掛ける。市場調査、市場視察のプランニング、フィージビリティスタディ、進出戦略・事業計画の策定から、現地代理店開拓、会社設立、販促活動、工場用地選定、工場建設・立ち上げ支援まで、現地に密着したコンサルテーションには定評がある。11年からはJTB法人東京と組んでブラジルビジネス情報センター(BRABIC)を立ち上げ、ブラジルに関する正確な情報提供とよりきめ細かい進出支援を行なっている。

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提供:モーニングスター社

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