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英中銀、0.25ポイントの利上げを全員一致で決定

2018/08/03 11:13

<チェックポイント>
●07年金融危機以来の実質利上げ

●今後の利上げは徐々にゆっくり小幅で実施することで今回も全員一致

●全員一致で資産買い取りによる量的金融緩和策の現状維持を決定




 イングランド銀行(BOE、英中銀)は2日、金融政策委員会(MPC)の結果を発表し、政策金利を全員一致で0.25ポイント引き上げて0.75%としたことを明らかにした。利上げは市場の予想通りだったが、利上げ幅については市場では失業率が43年ぶり低水準の4.2%と、雇用市場が堅調で賃金上昇も続いていることから0.50−0.75ポイントの大幅利上げを予想していただけに、今回の小幅利上げはサプライズとなった。発表後、声明文でBOEが追加利上げの可能性を示唆したことでポンドは主要通貨に対し上昇したが、その後、すぐに下落に転じ、対ドルで一時0.6%安となった。

 今回の利上げは、BOEが17年11月会合で07年7月以来約10年ぶりに0.25ポイントの小幅利上げを実施したのに続いて2度目となる。ただ、前回の利上げは英国のEU(欧州連合)離脱を決めた16年6月の国民投票の結果を受けて、同8月に緊急避難的に0.25ポイント引き下げたのを是正する金利調整が主目的だった。その意味で、今回の利上げは07年7月以来11年1カ月ぶりの実質利上げで、いわゆるパリバショック(07年8月)の金融危機以来となる。

 市場では今回の小幅利上げについて、19年3月の英国のEU(欧州連合)離脱後に景気が急激に悪化した場合、景気刺激の利下げ余地を残すために利上げしたとの見方が大勢だ。政策金利が今後、1.00%かそれ以上に引き上げられた場合、多くのエコノミストは景気後退局面で数回の利下げ余地が生まれると見ている。

 今回の0.75%という金利水準は、09年2月(1.00%)以来9年半ぶりの水準だが、依然として超低水準に変わりはない。

 BOEは会合後に発表した声明文で、前回と同様、「将来の利上げが徐々にゆっくりとしたペースで行われる」とした。ただ、市場ではブレグジット(英EU離脱)協議の先行きがノーディールに終わる可能性もあり不透明なことや、一時的とは言え1−3月期GDP伸び率が前期比わずか0.1%増と、低かったことなど景気がまだら模様となっていること、また、6月のインフレ率も前年比2.4%上昇と、物価目標を超えているものの、アナリスト予想の2.6%上昇を下回り、コアインフレ率も15カ月ぶり低水準の1.9%上昇に鈍化し物価目標を下回ったことなどを考えると、BOEの次の利上げはすぐには実施されないとみられている。

 BOEのカーニー総裁は記者会見で、BOEが今後目指す新しい正常な政策金利の水準(中立金利)について、「新しい正常な政策金利の水準の見直しを進めており、それは歴史的平均値である約5.00%よりもっと低い水準になる」とした。エコノミストはこの水準は1.50−2.50%のレンジになるとみている。また、世界的な貿易摩擦の激化の悪影響についても「英国は高関税による直接的な影響より企業の景況感の低下(二次的影響)による景気への悪影響の方が大きくなる」と述べ、貿易摩擦は景気下ブレリスクとの見方を示した。

 また、今回の会合で、BOEは最新の四半期インフレ報告書を公表した。それによると、金融先物市場が織り込んでいる政策金利の見通しは、18年7−9月期が0.60%(前回5月予測時点は0.70%)、19年7−9月期は0.90%(同1.00%)、20年7−9月期は1.00%(同1.20%)、さらに21年7−9月期は1.10%と予想。前回の四半期インフレ報告書に比べ、それぞれ0.10−0.20ポイント低下している。

  一方、BOEは資産買い取りスキームを通じた量的金融緩和策(QE)についても全員一致で、国債の買い取り枠を4350億ポンド(約62兆2350億円)、投資適格級の社債買い取り枠も100億ポンドと、いずれも現状通り維持することを決めた。

 BOEの次回会合は9月13日に開かれる予定。

提供:モーニングスター社