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<新興国eye>ブラジル進出支援のプロが明かす、1%低成長でも「景気良好」なワケ

2013/02/04 08:16

(10/22 10:10) 現在値
日産自動車 379.7 -5.9

 ブラジル経済が回復基調になかなか戻らず、投資家が景気先行きに強気になれない状況が続いている。現地の景気に対する認識はどうなのか、日本企業のブラジルへの進出意欲は強いのか。昨年2カ月に一度のペースでブラジルを訪れるなど現地に頻繁に足を運び、ブラジルのビジネス・経済動向に精通したクォンタム(東京都千代田区)の代表・輿石信男氏に足元の景気などを聞いた。同氏は、11年に旅行代理店大手JTBと組んでブラジルビジネス情報センター(BRABIC)を立ち上げ、ブラジルに関する情報提供と進出支援を行なっている。

 ――ブラジルの12年実質GDP(国内総生産)成長率は1%程度にとどまったとの見方が強いが、低成長に陥った理由は。
 「GDPには輸出と輸入のバランスが反映されるが、ブラジルは貿易赤字になっていることでGDPが押し下げられている。製造業が育っていないため、消費の伸びに対して供給が追いつかず、輸入品に頼らざるを得ない状況だ。ただ、これは内需が堅調であることを意味する。実際に消費は順調に伸びており、ブラジルを訪れた日本人は皆、景気は良いと話す」

 ――投資家はブラジルのインフラ需要にも注目しているが、成長の押し上げ要因になるか。
 「インフラ投資は、政府の成長促進プログラム(PAC)の第2期投資額が合計で約85兆円に上り、今年から本格的な投資が行われる見込みだ。ただ、汚職で投資のお金が行き渡らなかったり工事が遅れたりする例が多く、どの程度投資が実現するか不透明な部分もある。14年のサッカーワールドカップ、16年の五輪開催に伴うインフラ投資は、ブラジルのGDP規模を考えると影響はそれほど大きくないだろう」
 「ブラジルが成長するためには、製造業を伸ばすことが望ましく、政府は外資系企業によるブラジル国内での投資や合弁設立を奨励するなど対応策を打ち出している。例えば外資系自動車メーカーに対して内製化率(使用部品に占めるブラジル製品の割合)が高いほど低い税率を課すようにして、国内産業の育成を図っている」

 ――日本企業の進出動向、現状について聞きたい。
 「ブラジルへの進出意欲は強いものの、なかなか行動に移さない。とりあえず現地に社員を派遣したり事務所を設けてリサーチするが、調べれば調べるほど税金や生活費、労務といった面で問題ばかり見えてくるので、日本企業はそこで二の足を踏んでしまう。こうした問題は現地でコンサルタントを雇うなどお金をかけて戦略的に解決できるが、日本企業はそれをせず計画が止まっている会社がごまんとある」
 「1つの分野にこだわり過ぎるのも日本企業の悪い傾向だ。本来はブラジルのマーケットを見て、それに合った商品を売るべきだが、日本企業は自社が売りたいものだけを考える。会社が持っている資産はもっとたくさんあるにもかかわらずだ。例えばブラジルのビール業界にはガリバーがいて日本企業にとってシェア拡大は容易ではないが、清涼飲料や菓子業界は商品のバリエーションが少なく、品質も日本企業の商品に比べて著しく劣るので、参入の余地が十分にある。実際に成功している韓国メーカーもいる」
 「日本企業は多品種少量生産やクオリティーで勝負できるところから入った方がよい。そこで一度ブランドを築けば難しい分野にも可能性が広がる。日本のビール大手がブラジルへの参入を検討する場合、ビールを売ることだけを考えるのではなく、グループに清涼飲料や菓子メーカーがあれば、まずはそこから攻めて販路を広げるといった選択肢もあるはずだ」

 ――日本企業が現地で有利にビジネスを展開するためには何が必要か。
 「ブラジルには欧米だけでなく、中国や韓国企業も積極的に投資している。こうしたなか、日本企業が現地に経営トップを送らず、小出しの投資をしても相手にされないだろう。この点、日産自動車<7201>のカルロス・ゴーン社長はブラジルの市場をよく分かっている。自ら現地を訪れルセフ大統領と面会し、1200億円の投資をトップダウンで決めた。政府は一気に多額の投資をする会社を優遇するため、日産のような会社はさらに有利になる。同社が16年五輪のオフィシャルスポンサーに選ばれたのもそうした背景がある」

提供:モーニングスター社