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<EMeye>韓国、イスラエルからのジェット練習機受注狙い猛アタック

2011/12/06 19:15

 イスラエル国防軍のジェット練習機受注を狙って、韓国が猛烈な売り込みをかけている。これは、イスラエル空軍がこれまで上級訓練用のジェット練習機として使用してきた米ダグラス・エアクラフト(1997年ボーイングにより買収)製のA−4スカイホーク44機退役に伴うもの。

 イスラエル国防省は代替の超音速ジェット練習機として韓国航空宇宙産業(KAI=用語解説)のT−50ゴールデンイーグル、伊アレーニア・アエルマッキのM−346という、2つの航空機メーカーの機種をリストアップ。調達機数25−35機、受注総額10億ドル(約780億円)ともされる大型商談だけに両社は受注活動に躍起になっている。

 T−50は米ロッキード・マーティンの技術支援を受けてKAIが開発した航空機で、ワークシェアは米国55%、韓国44%、その他1%。ロッキード製F−16の影響を強く受けており、共通点は多い。そのためF−16を採用している国にとっては受け入れやすい素地がある。

 イスラエル経済紙ハーレーツによると、KAI幹部はF−16との類似性を前面に押し出してきているという。事実、イスラエル空軍はF−16各型を362機導入しており、将来的にはロッキード製のステルス戦闘機F−35ライトニングIIの導入も検討している。ロッキードの支援を受けたT−50には有利。ライバルのイタリアが不安定な経済状況にあることも韓国側を強気にさせている。

 T−50はすでにインドネシアから16機を4億ドルで受注した実績を持つ。ハーレーツは、サムスン電子や現代自動車はすでに日本のトヨタ自動車 <7203> にさまざまな教訓を与えるまでになっており、KAIがイスラエルでも受注を獲得できれば韓国にとって大きな技術の跳躍を意味するとした。

 韓国は今回以外にも潜水艦、戦車などさまざまな武器を新興国中心に売り込みをかける。10年武器輸出額は約12億ドルだが、2020年までに輸出額を40億ドルに伸ばす計画を持つことから、今後も積極的な攻勢は続きそうだ。

 一方、日本は武器輸出三原則に縛られて満足な行動ができず、劣勢の続く家電以上にこの分野で何もできない。三菱重工業 <7011> など国内メーカーは自衛隊向けのみなので量産効果がなく価格も高い。また、見てくれはともかく、競争がないため兵器の質そのものも世界の潮流になかなか追いつけていないのが現実だ。中国、ロシアを含めた隣国が外貨獲得手段としてここまで躍起になっている以上、日本も考える時期に来ているのかも知れない。

 用語解説「韓国航空宇宙産業(KAI)」=1999年、財閥の解体に伴い現代宇宙航空、三星(サムスン)航空産業、大宇重工業が統合して誕生した航空機メーカー。主要株主は韓国産業銀行(金融)、現代自動車(自動車)、サムスンテックウィン(電機)、斗山インフラコア(建機)。

提供:モーニングスター社