文字サイズ

  • 小
  • 中
  • 大



アナリストの視点(国内株式)

任天堂は3DSで一石を投じられるか、混迷するゲーム業界に新潮流

2010-10-05

 電車に乗ると、携帯電話とにらめっこしている若者が目立つ。それは以前からあった光景で、かつては携帯電話でSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に夢中になっている人が多かったようだ。しかし、今ではソーシャルゲーム(人と人のつながりをベースに展開するゲーム)で遊ぶ人が増えているという。携帯電話の画面に没頭することで周囲とのかかわりを断っているように見えるが、ネットワークを通じてのつながりは大事にしているらしい。

 このソーシャルゲームの爆発的なヒットで業績が急成長しているのが、携帯電話を中心にSNSを展開するディー・エヌ・エー(=DeNA、2432)であり、グリー(3632)だ。特にDeNAは「怪盗ロワイヤル」など人気ゲームを多数提供し、収益は急拡大している。矢野経済研究所の調査によると、ソーシャルゲームの市場規模は2010年3月期に338億円(前期比7.5倍)と急増、さらに12年3月期には1171億円まで拡大するとの試算がある。
 7月にはソフトバンク(9984)が米国ソーシャルゲーム大手のジンガと合弁会社「ジンガジャパン」を設立すると表明し、9月にはKDDI(9433)も、中国ソーシャルゲーム最大手であるリクー・メディアおよびリクー・ジャパンとの提携を発表した。今後、SNS会社、携帯電話会社など、幅広い企業間でソーシャルゲームをめぐる競争が激化しそうだ。
 一方、それで割を食うのが従来の家庭用ゲーム会社だ。ゲームソフトメーカーは以前ほどゲームが売れないとして、ソーシャルゲームへの参入が相次ぐ。しかし、ゲーム機を提供する任天堂(7974、主力大証)、ソニー(6758)などは、そう簡単に路線を変えるわけにはいかない。ユーザーの可処分時間は有限なだけに、従来の家庭用ゲーム市場を強化するため、より魅力的なゲーム機の開発、発売が命題となっている。

アクセスランキング(過去1週間)

 任天堂は来年2月26日に新携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」(税込2万5000円)を発売する予定だ。「3DS」は眼鏡を必要とせず、3D(立体画像)ゲームを楽しめる点で画期的。市場では年内発売、2万円以下との予想が出ていたことで、一時的に失望感が広がったものの、前評判は非常に高く、ソーシャルゲームに傾いたゲーム業界の流れを元に戻すとの期待も出ている。これまではソーシャルゲームと家庭用ゲーム間の争いがクローズアップされることはなかったが、「3DS」発売に向け注目を集めそうだ。これが旧来のゲーム関連銘柄の株価を活性化する要因になるとの声もある。

(梅村 哲哉)


バックナンバー

株式ニュース  一覧

ページの先頭へ戻る