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アナリストの視点(国内株式)

「菅」が沈み、株価は浮かぶ イールド・スプレッド上昇余地示唆

2010-11-24

 軽率な失言ではない。すさまじい愚言、いや、暴言である。

 仙谷由人官房長官は18日の参院予算委員会で、「暴力装置でもある自衛隊」と発言。委員会が騒然となって、すぐに発言を撤回したものの、国の護(まも)り手に対し、国会の答弁で「暴力」という言葉を使ったのだから、その一事だけで為政者としては完全に失格。直ちに辞職に値する。

国民を愚ろうする発言

 一方、問責決議案を突き付けられる事態にまで至った柳田法務相が「二つ覚えておけばよい」とする地元での発言を、NHKなどは「国会軽視とも取れる発言」と伝えているが、とんでもない。「とも取れる」どころか、「100%」国会を、つまり国民を愚弄(ぐろう)した発言であることは明瞭(めいりょう)だ。柳田氏は22日午前、辞表を提出した。後任の法相は当面、仙谷官房長官が兼務する。

 皮肉なもので、あちらが沈めば、こちらが浮かぶ。尖閣事件をめぐる対応をはじめ、菅内閣の不手際や混乱に対する世論の批判が高まるにつれ、世界の株式市場で独歩安状態にあった日本株が息を吹き返しつつある。18日には5カ月ぶりに日経平均株価が1万円台を回復し、ぶ厚い「上値の壁」と意識されていた200日移動平均線も6カ月ぶりにクリアした。

 1ドル=83円台まで円高が是正されたことが大きいのはもちろんだが、為替と同時に、日本株の足を引っ張り続けている菅内閣の末期・退陣をマーケットは探り始めた形跡がある。円高と政治混迷という二つの「重し」がようやく取り除かれるとしたら、株価にとってはポジティブだ。

投資尺度、軒並み割安

 問題は、この戻り相場の継続性である。11月初旬まで弱気のシンドローム(症候群)に染まっていただけに、今後、株価が少しでも伸び悩むと、たちまち市場に警戒ムードが広がるはず。

 しかし、東証1部上場銘柄の平均PER(株価収益率)は15.79倍。PBR(株価純資産倍率)が1.09倍(いずれも19日終値ベース)。神経質になる水準では全くない。

 見逃せないのは、イールド・スプレッド、つまり金利との見合いからとらえた株価だ。イールド・スプレッドは、長期金利から、株式益回りを差し引いたもの。金利と比較して、株価が割高か、割安かを探る有力な投資尺度だ。

 株式益回りはPERの逆数。19日現在6.33%で、イールド・スプレッドはマイナス5.28%。2001年以降の9年間を振り返ると、100年に一度の危機と言われたリーマンショック後における08年10月27日のマイナス8.44%という異常値を除けば、03年5月の同5.10%、05年6月の同4.71%、08年3月の同5.93%がボトム。現在はその近傍にある。

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 余裕しゃくしゃくの相場。微調整を交えつつ、戻り本番コースに入るだろう。

(赤間 憲明)


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