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アナリストの視点(国内株式)

電子書籍、紙不足、物流混乱の中で脚光

2011-03-29

 集英社が「少年ジャンプ」の発売日を3月28日から4月4日に延期する。それ以外の雑誌についても、延期もしくは休止する予定。集英社だけでなく、新潮社、光文社など他の出版社も同様の措置を取り、日本雑誌協会によると発売を延期か休止する雑誌は200誌近くになるという。東日本大震災の影響で紙不足、配送用の燃料不足が深刻化しているからだ。

 また、集英社は被災地を中心に配送が大幅に遅れた、もしくは依然として届けられていない「週刊少年ジャンプ第15号」(3月14日発売)をインターネットで特別無料配信する。角川グループホールディングス<9477>傘下のアスキー・メディアワークスが発行するパソコン雑誌「週刊アスキー」も3月14日発売号から数号分の記事ページをPDFファイル化し、無料配信する方針。「週刊アスキー」の無料配信は紙供給、物流が平常に戻るまでは続く見通しだ。一方、非常時にいち早く情報をお届けしたいということで、弊社も現在、「株式新聞Web」を無料公開中だ。

 かつてない地震の後、ツイッターなどインターネットを利用する連絡方法が脚光を浴びた。また、首都圏で計画停電や交通まひが続く中、情報収集にインターネットを活用しているという人も多いだろう。これらを通して、有事のときのインターネットの有効性が改めて確認された。「少年ジャンプ」「週刊アスキー」の例でも分かるように、インターネットを通じた電子出版の有効性も、ここにきて明らかになってきた。

 既に大日本印刷<7912>、凸版印刷<7911>など大手印刷会社は、電子書籍の中継ぎ、販売に注力している。出版社や新聞社の電子書籍事業への取り組みも目立ち始めており、今後、書籍が電子化していく流れは避けられない。昨年は「電子書籍元年」といわれたものの、電子書籍化の進行速度はゆっくりとしたペースだったが、今回のことで普及が加速する可能性もありそうだ。

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 このような時期だけに、家電メーカー、通信会社、出版社など、電子書籍の関連銘柄に単純に注目とはいえない。しかし、いずれ日本経済が復興に向かい、株式市場も通常の状況を取り戻すときには、有事の電子書籍配信の有効性を思い出したいところだ。

(梅村 哲哉)


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