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アナリストの視点(国内株式)

「クールジャパン」の行方、縮小続くビデオソフト市場

2011-06-03

 文化科学研究所の調査によると、2010年のビデオソフト(DVD、ブルーレイ・ディスク)の市場規模は5,307億円で、2009年と比較して7.6%減少した。このうち、セル市場は2,635億円(1.5%減)、レンタル市場は2,672億円(12.9%減)と推計されている。

 一方、ビデオソフト販売がピークだった05年の市場規模は6,702億円だった。この5年間のうちに、20%以上も市場が縮小したことになる。なお、05年のセル市場は3,124億円、レンタル市場は3,578億円で、セル、レンタルとも大きく減少していることが分かる。

 これについて、「00年代の半ばにかけてDVDプレーヤー&レコーダーが普及し、特にセルDVD市場が急拡大した。しかし、需要が一巡したことで、現在では縮小傾向が続いている」(業界関係者)との声が出ている。

 セルDVD市場の拡大を受け、00年代前半から半ばにはGDH、プロダクションIGなど、アニメ制作会社の株式上場が相次いだ。「クールジャパン」が話題になったのも、このころだ。アニメDVDの売上増から業績が拡大し、さらなる飛躍を求めた上場だったが、実際は00年代後半になって失速。GDHは債務超過から上場廃止になり、プロダクションIGはコミック出版社のマッグガーデンと経営統合しIGポート<3791.JQ>となっている。

 そのほかのアニメ制作会社も、トムス・エンタテインメントがセガサミーホールディングス<6460>に完全子会社化されて上場廃止になった。「クールジャパン」として日本のゲーム、コミック、アニメなどポップカルチャーが世界的に注目され、今後、有力な輸出産業に育成していくとの計画もあるが、実態は厳しい状況だ。

 その中で、好業績が目立っているのが、60年以上もの歴史を持つ老舗のアニメ制作会社、東映アニメーション<4816.JQ>である。女の子向けに「プリキュア」、男の子向けに「ワンピース」がヒットし、関連商品販売も好調だったことから、前3月期の連結営業利益は42億円(前々期比80%増)と大幅増加した。

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 DVD販売が好調だったころは高年齢層向け作品が中心だったが、やはりアニメは子どものものかもしれない。しかし、アニメをはじめとしたコンテンツ業界はヒットの有無により業績動向が大きく左右される傾向がある。いったんヒットした作品も永遠に人気が続くわけではなく、東映アニメも今期について営業利益22億円と、大幅減益を見込んでいる。現状ではまだ「クールジャパン」の言葉が独り歩きしている印象がある。

(梅村 哲哉)


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