文字サイズ

  • 小
  • 中
  • 大



アナリストの視点(国内株式)

電子書籍の普及へ一歩進むか、ヤフーが本格参入

2011-10-19

 IT・エレクトロニクス総合展覧会「CEATEC JAPAN 2011」で、ヤフー<4689>がこの冬に電子書籍事業に本格参入すると発表した。昨年5月、米アップル社がタブレット型情報端末「iPad(アイパッド)」を発売。それをきっかけに日本では出版、印刷、通信、電機など関連業界を巻き込んで電子書籍に関する動きが活発化し、2010年は「電子書籍元年」と呼ばれた。

 その勢いは今年に入って衰えたものの、楽天<4755・JQ>が今年8月、パナソニック<6752>と組んで電子書籍事業に参入するなど、電子書籍市場を開拓するとの動きは継続している。ヤフーには既にコミックを中心とした電子書籍ストア「Yahoo! コミック」があり、同ストアを総合的な電子書籍ストアへとリニューアルする予定だ。「Yahoo! コミック」には累積ユーザー数約300万人の実績があり、これを発展する形で事業推進を目指す。

 ただ、昨年12月にシャープ<6753>が鳴り物入りで発売した電子書籍専用端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」は、主流だった5.5型、10.8型が既に生産終了。ソニー<6758>も電子書籍専用端末「Reader(リーダー)」を販売しているにもかかわらず、それとは別にタブレット型情報端末「Sony Tablet」シリーズなどを積極的に市場に投入している。このように、日本の電子書籍市場の先行きには不安感もある。

 一方、現在はアイパッドなどタブレット型情報端末のほか、スマートフォン(多機能携帯電話)でも電子書籍が読めるケースは増えている。弊紙「株式新聞」もアイパッドアプリ「株式新聞iPad」として、30日間1,200円(10月31日までは半額キャンペーンで600円)で提供中だ。ヤフーは特定の電子書籍端末だけではなく、タブレット型情報端末、スマートフォン、パソコンなど、幅広いデバイスで読める電子書籍ストアを目指しているようだ。そのため、世界標準の電子書籍規格「EPUB」を採用し、日本での普及に取り組む。

 日本の電子書籍の問題点として規格の乱立が指摘されており、それをクリアするため一部では自分で紙の書籍を画像データ化する「自炊」が脚光を浴びた。自炊代行業も現れたが、著作権保護の問題から現在は下火になっている。一方、海外の規格は「EPUB」が主流ということもあり、今後、ポータルサイト最大手であるヤフーの電子書籍ストアが注目を集めそうだ。

アクセスランキング(過去1週間)

 紙の本へのこだわりは根強いが、携帯性に優れる、オンラインでいつでもどこでも買えるなど、電子書籍のメリットは多い。問題点が一つ一つ解消されれば、次第に電子書籍の普及は進むことになろう。

(梅村 哲哉)


バックナンバー

株式ニュース  一覧

ページの先頭へ戻る