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新規設定ファンドの動向をみる

2012-03-06

「野村 豪ドル債オープン・プレミアム毎月」の大型設定

 2012年に入り、マーケット環境の好転とともに、注目を集める新規設定ファンドも出てきている。その代表と言えるのが、野村アセットマネジメントが2月17日に設定したファンド「野村 豪ドル債オープン・プレミアム毎月」となる。同ファンドの当初設定金額は896億円、「野村 豪ドル債オープン・プレミアム年2回」の当初設定金額144億円と合わせ、シリーズ計1,000億円を超える当初設定金額となった。また、3月5日時点で約2,200億円規模の純資産となったことから3月19日以降の買い付け申し込みが一時停止される予定となる(3月5日時点)など、その後も高い人気を集めているようだ(3月2日時点の「野村 豪ドル債オープン・プレミアム毎月」の純資産額は1,884億円、「野村 豪ドル債オープン・プレミアム年2回」は295億円となる)。

 また、2011年12月に設定された単位型ファンドの「日本割安株ファンド‘11−12(愛称:ザ・バリュー)」が、日本株の上昇を受けて短期間で繰り上げ償還となる予定であることや、同じく単位型ファンドの「野村日本株投信(豪ドル投資型)1109」も運用基準が一定水準(1万2,000円)以上となり、信託を終了することが発表されるなど、2月に大きく上昇した日本株がファンドをめぐる資金流入状況に大きく好影響を与えている可能性があるだろう。

2012年は再び新規設定ファンドに注目が集まるか?

 一方、近年では、通貨選択型ファンドの設定本数増加などによって新規設定ファンドの本数自体は増加しているものの、新規設定ファンドの当初設定金額自体は低下傾向にあり、むしろ既存ファンドへの資金流入が目立っていた。2011年には、2010年に設定された「ドイチェ・高配当インフラ関連株(レアル)毎」の年間の純資金流入額が2,093億円、「日興 ハイブリッド3分法F毎月(新興国通貨)」が2,006億円となったことや、「新光 US−REITオープン」が6,356億円、「短期豪ドル債オープン(毎月分配型)」が5,078億円となるなど、新規設定ファンドよりも既存ファンドへの資金流入が目立つ結果となっていた(2011年設定のファンドでは、「ダイワ/ハリス世界厳選株ファンド」が855億円の純資金流入となった)。

 ただ、2012年に入っては、「野村 豪ドル債オープン・プレミアム毎月」の当初設定金額のみですでに「ダイワ/ハリス世界厳選株ファンド」の2011年の純資金流入額を上回っていることを考えると、再び新規設定ファンドへの注目が増す可能性がある。また、過去には2009年1月に野村アセットマネジメントが通貨選択型の「野村 米国ハイ・イールド債券(レアル)毎月」シリーズを設定し、2008年のリーマン・ショックの影響から冷え込むマーケット環境下、シリーズ全体で合計1,000億円以上の当初設定金額を集め、その後の通貨選択型ファンドの設定増のきっかけとなったことを考え合わせると、「野村 豪ドル債オープン・プレミアム毎月」への大規模な資金流入が今後のファンドのトレンドに影響を与える可能性もあるだろう。

複雑な仕組みには注意が必要

 「野村 豪ドル債オープン・プレミアム毎月」は、豪ドル建て公社債(国際機関債、国債、政府機関債、準政府債<州政府債>、社債など)を実質的な主要投資対象としていることなど、投資対象自体は既存のオーストラリア債券に投資するファンドと大きな変化はない。ただ、通貨で円に対する豪ドルのコール・オプション(あらかじめ決められた価格<この場合は、豪ドル・円の価格>で買う権利を売買する取引のこと)を売る戦略を採用している点が目新しいものとなっている。こうしたコール・オプションを活用したファンドの設定は昨年から増加してきており(カバードコール戦略)、コール・オプションを活用することで分配原資を獲得し、より確実に分配原資を得ることを狙っていると思われる。

 特に通貨選択型ファンドについては、販売規制の強化の話も昨年から浮上していることや、分配原資の明確化を求める動きも相まって、こうしたオプションを活用したファンドの設定が増加していると推測される。ただ、こうしたオプションの戦略の仕組みは通貨選択型ファンドと同様に複雑な仕組みとなっており、仕組みが投資家に十分に理解されているかどうか、オプション部分のコストが見えにくいことには注意する必要があると思われる。

(渡邉 亮)


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